DNS サーバー

DNS サーバー

DNSサーバーの定義

DNS サーバーは、インターネット上の電話帳のような存在です。ドメイン名を正しいIPアドレスに変換し、ウェブブラウザやアプリがウェブサイトやオンラインサービスにアクセスできるようにします。 この名前解決システムは ドメインネームシステム(DNS) と呼ばれ、各DNSクエリに対して正しい宛先へトラフィックを導く情報を返します。

たとえば、ユーザーが www.example.com と入力すると、DNSリゾルバー(多くの場合は再帰リゾルバー)が動作します。リゾルバーは権威DNSサーバーと連携し、正しいIPアドレス――たとえば 203.0.113.10――を見つけてサイトを読み込みます。裏では、ISP(インターネットサービスプロバイダー)や社内ネットワーク、または Google Public DNS のようなパブリックDNSサービスがこの照会処理を行っている場合もあります。

DNSサーバーの仕組み

DNSルックアップは通常、次の手順で進行します。

  1. 再帰リゾルバーがユーザーのDNSクエリを受け取る。
  2. その答えがDNSキャッシュにない場合、リゾルバーはルートサーバーに問い合わせ、適切なトップレベルドメイン(TLD)を指示してもらう。
  3. TLDサーバーはその後、対象ドメインの権威DNSサーバーを案内する。
  4. 最後に、それらのサーバーが正しいIPアドレスをデバイスに返す。

各段階で、OSやブラウザ、リゾルバーはキャッシュ済みの結果を利用して処理を短縮することがあります。これらの結果は、その 有効期間(TTL) の間だけ保持されます。もちろん、安定したインターネット接続と正しいDNS設定がなければ、これらの仕組みは機能しません。

DNSサーバーの主な機能

  • 名前解決(Resolution):ドメイン名をIPアドレスに変換することが、すべてのDNSサーバーの基本です。
  • キャッシュ(Caching):TTLを利用して結果を保存することで、再問い合わせ時の遅延を削減します。
  • トラフィック制御(Traffic Steering)スマートルーティング により、複数サーバー間でトラフィックを分散し、速度と耐障害性を高めます。
  • 冗長性(Redundancy):バックアップの権威DNSサーバーが障害発生時にもサービスを継続します。
  • セキュリティ(Security):DNSSECは DNSハイジャックを防止 し、DNS over HTTPS(DoH)やDNS over TLS(DoT)はユーザーのプライバシーを保護します。
  • ダイナミックDNS(Dynamic DNS):IPアドレスが頻繁に変わる場合に、レコードを自動的に最新状態に保ちます。
  • 管理(Administration):ネットワーク機器のDNS設定を調整することで、ログ、キャッシュ、プライバシー動作を制御できます。

DNSサーバーのパフォーマンスに影響する要因

DNSサーバーの性能は、クエリ処理の効率、ネットワークルーティングの管理、およびレコード整合性の維持によって左右されます。以下は、DNSサーバーのパフォーマンスを決定づける主要な要因です。

  • Anycastルーティング:クエリは最も近くの健全なサーバーによって応答され、遅延を最小化します。
  • キャッシュ戦略:効率的なDNSキャッシュと適切なTTL設定により、待ち時間を短縮します。
  • 高可用性アーキテクチャ:複数リージョンへの分散配置により、サーバー障害時でも稼働を維持します。
  • リゾルバーの品質と最適化:信頼性の高い再帰DNSサーバーや適切に運用されたパブリックDNSサービスは、より一貫した結果を提供します。
  • レコード整備(Record Hygiene):DNSゾーンを定期的に監査することで、応答の整合性を保ち、サーバーが正確なIPアドレスを迅速に返せるようにします。

DNSサーバーの主要指標

  • クエリ応答時間(P50, P95):DNSルックアップの応答速度。
  • 可用性(Availability):リゾルバーおよび権威DNSサーバーの稼働率。
  • キャッシュヒット率(Cache Hit Ratio):キャッシュから直接回答される頻度。
  • 毎秒クエリ数(QPS):システムが性能を落とさずに処理できるクエリの量。

制限事項と誤解

  • DNSサーバーはコンテンツの所在を特定しますが、コンテンツ自体を配信するものではありません。
  • 高速なルックアップはブラウジングを改善しますが、アプリケーションやオリジンサーバーの遅延を解消するものではありません。
  • 既定ではDNSトラフィックは暗号化されていません。DNSSEC、DoH、DoTを利用して保護してください。
  • パブリックDNSサーバーが常に最速とは限りません。ネットワークピアリングのほうが重要な場合もあります。
  • 誤ったDNS設定は、通信が遅いように見える原因になります。
  • DNSリゾルバーと権威DNSサービスは異なる役割であり、相互に代替することはできません。

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  • ステージングゾーン(Staging Zone):本番適用前に DNS設定 をテスト可能です。

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